日本での転職やキャリアアップをお考えの外国人の方の中には、日本語資格の取得を目指している方も多いのではないでしょうか。
求人によっては、日本語資格の保持が応募条件に含まれている場合があります。
数ある日本語資格のうちの1つ、TOPJ 実用日本語運用能力試験をご存じでしょうか。
TOPJとは、日本語を母国語としない方のための日本語能力検定です。
日本語の語彙や文法、文型などの基礎的な能力はもちろん、日本社会や日系企業の習慣と文化に対する理解能力も測ることが可能です。
この記事では、TOPJ 実用日本語能力運用試験の試験内容や特徴について、それを活かした転職のポイントと併せて解説します。
また、日本で中国語を活用した転職やキャリアアップを目指している方はTENJeeをご利用ください。
中国語スキルに特化したTENJeeでは、語学力を強みにした仕事探しを行うことができますので、ご興味がある方はぜひ一度ご相談ください。

TOPJの試験内容
TOPJ 実用日本語運用能力試験は初級・中級・上級の3段階に分かれています。
全ての級でリスニング試験と筆記試験によって構成されています。
なお時間配分は、初級・中級はリスニング試験35分、筆記試験55分で行われますが、上級はリスニング試験35分、筆記試験85分で行われます。
問題は全て選択式で、配点はリスニング225点、筆記275点の計500点満点です。
TOPJの基本情報
TOPJ 実用日本語運用能力試験の基本情報について解説します。
日本語能力検定(JLPT)、ビジネス日本語能力テスト(BJT)、実用日本語検定(J.TEST)など、他の日本語資格についても知りたい方は、下記のコラムで出題傾向や基本情報について解説していますので、合わせてチェックしてみてください。
実施の頻度
TOPJ 実用日本語運用能力試験は初級・中級・上級ともに奇数月に1回ずつ、年6回実施されています。
これはあくまで日本での実施頻度で、海外で受験する場合は実施回数が異なるため注意しましょう。
実施場所
日本の受験会場は、東京・千葉・神奈川・京都・大阪・福岡・沖縄です。
実施回によっては開催しない会場もあるので、TOPJの公式サイトを確認すると良いでしょう。
また、日本に加え、中国(大連会場)・ベトナム(ハノイ・ホーチミン・ハイズン・フエ・ダナン会場)・ネパール(カトマンズ会場)・(台中・高雄会場)・スリランカ(コロンボ会場)・ミャンマー(ヤンゴン会場)での受験が可能です。
受験費用
初級・中級・上級いずれも5,000円(税込み)で受験することが可能です。
海外で受験する場合は、受験費用が変動する可能性もあるので注意しましょう。
評価方法
TOPJ 実用日本語運用能力試験には、合格・不合格という概念がありません。
上級・中級はそれぞれA・B・Cの3段階で評価されます。
初級はA-4・A-5・B・Cとさらに細かく、4段階で評価されます。
能力の目安は以下の通りです。
上級A|母語話者のどのようなレベルにも柔軟に対応できる能力を有する。
上級B|学会・研究会、或いは、職場の会議等で自身の考えを十分に表現することができる。
また、ビジネスの場面において、メールやFAX等書面でのやりとりを不備なく行うことができる。
上級C|高等教育機関において、自身の研究について、他者と協議、及び討論をすることができる。
また、専門分野の著書や論文を読み、その内容を理解した上で自身の論を綴ることができる。
職場では、一般的な電話対応の他、定型文を用いたビジネスメールでのやり取りができる。
中級A|学校や職場等、自身の属する環境において、相手と十分なコミュニケーションをとることができる。
また、自身の専攻、或いは専門分野における著書や論文を読み、最低限の内容を理解した上で、レポート等を作成することができる。
中級B|学校や職場等、自身の属する環境において、面識がある相手と十分なコミュニケーションをとることができる。
また、既有知識の範囲内であれば簡単なエッセイ・レポートなどを書くことができる。
中級C|日常的な会話であれば、十分なコミュニケーションをとることができる。また使用頻度の高い語を理解し、ある程度まとまった文章を書くことができる。
初級A-4|日常生活の基盤となる、使用頻度の高い語を理解し、相手とコミュニケーションをとることができる。初級A-5|日常生活において使用頻度が高い語を理解し、簡単な会話をすることができる。
初級B|日常生活において使用頻度が高い語をある程度理解し、単語レベルであれば相手とのやり取りをすることができる。
初級C|日本語に興味を持ち、ひらがな、カタカナ、漢字に慣れ親しみ、日本語に触れる環境を得る。
それぞれの級のレベルは、日本語能力検定(JLPT)と比較すると
上級がN1以上、中級がN2〜3相当、初級がN4〜5に相当します。
TOPJの特徴
TOPJ 実用日本語運用能力試験の特徴について解説します。
日本文化への理解を重視している
TOPJは、日系企業のビジネスシーンなどを想定した試験問題を積極的に取り入れています。
日本語を文法的に読解・聴解するだけではなく、日本社会の文化や習慣、ビジネスマナーに関する理解度を測ることができるというのがTOPJの特徴です。
日本での転職やキャリアアップを考えている方は特に、たいていの企業は社内の公用語が日本語です。
日本語での日常的なコミュニケーションスキルはもちろん、ビジネスマナーも求められます。
TOPJ上級試験は、目上の人への言葉遣いに関する問題も出題されるので、日本の社会人マナーを身につけたい方は受験を検討してみましょう。
日常で使われるような日本語を中心に出題される
井上:月曜日はいかがでしょうか。
木村:来週の月曜日ですか、お昼からなら空いてますよ。
井上:( )。
木村:いいですよ。では、お待ちしています。
A. それでは、午後、おうかがいします
B. いいですね、ちょっと待っててください
C. あいにくその日は都合が悪くて……
D. じゃあ、店まで来てもらえますか
これはTOPJの公式サイトが出している中級試験のサンプル問題です。
上記のように、日常会話にありそうな対話が問題として出題されるため、
TOPJの試験勉強をすることによって、実用的な日本語能力の習得が期待できます。
また、日本で生活したことがある方や、日本語での長期的な会話経験がある方は、その経験が試験に生きるでしょう。
TOPJを活用して日本で就職・転職するポイント
TOPJ 実用日本語運用能力試験を活用して、実際に日本で転職やキャリアアップを目指す際のポイントについて解説します。
適切な就労資格を獲得する必要がある
外国籍の方が日本で働くためには、職種に合った適切な就労資格を有している必要があります。
適切な就労資格を持たないまま働いてた場合、不法就労になります。
不法就労は働いた本人だけではなく、雇用主も法的に処分される恐れがあります。
転職の場合は、前職の就労資格では不十分な可能性があります。
自身の就労資格が転職先の条件に一致しているかどうか、必ず確認しましょう。
変更が必要な場合は速やかに手続きをすることをお勧めします。
外国語スキルを活かせる求人サイトを活用する
通常の求人サイトは日本人の求職者向けに作られている場合が多いです。
もし、外国語スキルを武器に仕事を探すのであれば、外国人の求人に特化したサイトの利用がお勧めです。
日本で転職先をお探しの中国人の方は、ぜひTENJeeをご活用ください。
TENJeeは、中国語スキルを活かせる求人が多く掲載されています。
職務によって求められる日本語レベルが設定されているので、TOPJをはじめとする日本語資格は、企業に対して自身の実力を証明する良い判断材料になるでしょう。
また、日本語資格のレベルやスコアが高いほど職の選択肢も広がります。

外国語力や海外での勤務経験を活かす
日本の多くの企業が海外進出を視野に入れています。
そのため、優れた外国語力や海外での職務経験は、採用の際に大きなアドバンテージになります。
理由としては、日本の企業なので当然日本語での交渉が得意な人は多いですが、英語やその他外国語での交渉を得意としている人は少ないです。
また、海外の勤務地で得たシステムやトレンド、文化の知識が活かせる可能性があります。
母国語や、海外での職務経験を日本でのビジネスに活かすことができれば、職場で重宝される人材になれるでしょう。
日本で働くことを選択した背景を説明できるようにする
面接の際に、日本で働くことを選んだ背景についての質問をされることが多くあります。
母国でも他国でもなくなぜ日本を選んだのか、日本で転職をすることの強みは何なのか、明確に説明できるようにしておくと良いでしょう。
また、日本で働く期間やどのような仕事がしたいかといったキャリアプランも併せて質問されることが多いため、答えられるように十分対策しておきましょう。
まとめ
TOPJ 実用日本語運用能力試験は、日本語の語彙や文法、文型などの基礎的な能力はもちろん、日本社会や日系企業の習慣と文化に対する理解能力も測ることができます。
加えて、数ある日本語資格の中でも実践に特化した検定で、実際のビジネスシーンへの活用が期待できます。
日本語の能力が高いほど職務の選択肢は広がるため、日本での転職やキャリアアップをお考えの方は、受験を検討するのも一つの選択肢です。
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求められる日本語レベルが設定されている求人もあるので、実際に求人情報を確認して、自身の資格勉強の参考にしてみてはいかがでしょうか。
